(ネタバレ注意)眠れないのでスプラッター『A L'interieur』

 こんばんは.

 おい!眠れないので,ではなくて,
眠れないのにスプラッターの間違いではないのか,
とお思いの諸兄.あなたがたは正常です.
というか,眠れないというのは,
寝付けないのではなく,寝たら確実に寝坊ということです.
くだらない冗談だなと言わず,もう少しお付き合いください.

 今回観たのは,フランス映画『A L'interieur』です.
邦題はなんと『屋敷女』,センスがあまりにもひどい.
そんなタイトルで人気が出るわけがありません.(笑)
とりあえず,観た感想なんぞ述べようかと思います.

 ※スプラッター映画について語っていますので,
苦手な方はスルーしていただければ幸いです.
また,これはあくまで「映画」の「感想」です.



 この作品は,妊婦が交通事故に遭う,
という状況を下敷きにして,物語が展開していきます.
物語というほどの筋書きもないのですが……(汗)
とにかく,主人公格の女性が2人,
まずは被害者の妊婦の女性=サラですね.
そして,それを執拗に狙う黒衣の女性(役名なし.「女」).
私の理解が正しければ,黒衣の女性も事故の当事者で,
恐らく自らも妊娠しており,その子が死んだと思われる.
要するにこの2人が事故を起こしたと考えています.
それで,(見当違いではあるが)復讐?のために現れます.
サラは外出から戻り,一人寂しく自宅で夫のことを想っています.

 そんな中,「女」が現れるのですが,こいつは強すぎます.(笑)
相手が油断していたとはいえ警官を3人も始末するなんて,
特殊な訓練でも受けていたのでしょうか?
結果的に,「女」はサラ含め6人も殺害します.
攻撃面だけでなく,防御面でもかなり強いです.人間なのか?
舌を噛み切られ,バーナーで顔を炙られて平気って…….
逆に言って,この映画では男性陣が弱すぎ.(笑)
また,鏡をぶち割ってそれを武器にしようとするサラも,
なかなか精神的にキていると思いました.(汗)
「女」と勘違いして母を刺してしまったのですから,
当然といえば当然か…….

 こんなに出血したらとっくに死ぬだろう,とか,
舌を噛み切られて(?)何故普通に立っていられるのか,など,
見ているうちに疑問もちらほら.
スプラッターとしての見所は,サラの手に鋏を突き立てるところ,
或いは素人帝王切開のシーンでしょうか.
それも,なんだか“ツクリモノ”感が漂っており,
正直,スプラッターというよりはギャグ映画のようでした.
サラがメイトリックスよろしく(観たことないが)武器を手に仁王立ちし,
「女」を探しに行くシーンでは思わず噴き出してしまいました.

 よい点を挙げるとするならば,きれいなBGMでしょうか.
殺害シーンでのウィーンというSEは謎でした.(笑)
あと,「女」役のBeatrice Dalleの演技.
映像としてのよい点は……一部のカメラワークなどかなぁ.
とは言え,暗闇の中で懐中電灯のみが頼りというシーンでは,
なんだかわざとらしくてすっかり白けてしまいました.
結局批判ばかりになりましたが,どちらかといえば,
この映画は好きな部類に入るんじゃないでしょうか.
鬱々とした暗い色調だけは,気に入りました.

 全体として“ツクリモノ”感が漂い,
更に見せ場といえばスプラッター描写のみというキワモノなので,
誰にもおすすめできません.というかしません.
私から,未見の方に一言お伝えするとすれば,
スプラッター好きでもない限り「この映画は観るな」です.

 フランス映画といえば,この『A L'interieur』との対比で,
マーターズが引き合いに出されていますが…….
まぁ,別物でしょう.比較対象にはならない気が.
あれはあれで痛々しいですけれども.切れたり剥がれたり.
ただ,マーターズは,死後の世界への興味・関心,
或いは宗教の狂信者を皮肉るような意図を見出せたように思いますが,
『A L'interieur』はただスプラッター描写だけです.
観たら,時間を損したと思うこと請け合いです.私は思いませんが(笑)

 これよりも『八仙飯店之人肉饅頭』の方が面白かったな.
あれは,のちに『インファナル・アフェア』に出演する,
アンソニー・ウォンが主演しています.
坊主頭にあの眼鏡はいかにも怪しそうですが,
彼は渋くて格好いい顔をしています.
いやぁ,あのウォン・チーハンはよかったな.
いかにも人殺してますって感じで.
八仙飯店〜では,見ていて痛々しいのは,
せいぜいプルタブで手首を切って自殺するところですかね.

 というわけで,今回はこの辺りで.