今日は(3回目)

 こんばんは.
ドリトスを食べながら更新.

 さて,今日も今日とて,ふつうに授業を受けたわけです.
なんら面白いことがない,といえばそうなります.
ので,ひとつ,読書関連の話を.

 今日,日影丈吉選集(河出書房新社)の最後となる,
5巻の『崩壊』を読了致しました.
日影丈吉,本名片岡十一.思えば,彼との邂逅は,
阿刀田高編『ブラック・ユーモア傑作選』でした.
収録されていたのは,『吉備津の釜』.
最初にこの選集を読んだのは,何年も前ですから,
頭も成熟しておらず,特に印象に残りませんでした.

 しかし,さきごろ,戦後文学を集めたものでしたか,
傑作選のような本の中に,日影丈吉の文字.
こちらには,『猫の泉』が掲載されておりました.
東京の水上バスを舞台とする吉備津の釜とは打って変わって,
猫の泉は,あるフランスの寒村が舞台となります.
私などには恐れ多くて,あらすじは他の方にお譲りしますが,
同じ作家でもここまで違うのだろうか,と思う内容でした.
月夜の噴水の描写などは,読んでいて,
澄み切った月夜の風景が瞼に浮かぶようでした.
(と言いつつ記憶違いをしていたら申し訳ございません.)
余談ですが,日影先生は,『粉屋の猫』という作品も残しています.

 で,読んでいて,これは5巻の解説を受けてのことですが,
日影丈吉という人は,掴みどころがない,と思いました.
それが,作品の幻想的な,或いは怪奇的な雰囲気と結びつき,
私には却って好もしく思われるのであります.
前出『吉備津の釜』『猫の泉』のほか,
さまざまな色彩の作品を残しています.
従軍経験をもとにした,台湾の軍隊を舞台とするもの.
怪奇と思われるような殺人事件(そのじつ,怪奇現象ではないが).
日本の民俗の空気が漂う作品.
どれも私の心によく響き,この作家が好きになりました.
ハードカバーの本を5冊買うお金はありませんが.
他にも,Gaston Leroux,Georges Simenonの翻訳も手がけました.
ただ,こちらは私は読んだことがありません.
いずれ,機会があれば,読んでみたいところであります.

これだけでも結構長いので,そろそろ切り上げようと思います.

 というわけで,今回はこの辺りで.